語録 97

　キリストの集会を支えるものは、社会的にはあれども無きに等しいもので、この世の権威者たちがキリスト教と考えているものは、凡そ、キリストの福音とはちがったものではなかろうか。神は人に本当に福音を分らせようとなさると、地上の特権のようなものを一つずつお取り上げになって、人間の世界に寄りたのむものが一つもないようにしておしまいになる。仕方がないから、ただ神とキリストの真実だけを信じて生きる。すると、豊かに天上の恩恵をお注ぎになる。この世で何も持たないことが、神の国のために働かせていただく一つの資格である。マタイ11：25－27のイエスの賛美を思う。「天地の主なるお父様、神の国の秘密に関するこれらのことをこの世の賢い人、知恵者に隠して、幼児のような人たちにあらわされたことを、讃美いたします」（塚本訳）と。福音は神の力であることが本当に分かるように、神はこのような手段をおとりになるのであろう。（『ローマ人へ』271頁）